映像業界はブラックなイメージが多いかと思います。
当たり前のように残業…
何日間も徹夜…
帰れなくて当たり前…
働き方改革が話題になってから映像業界も少しずつ良い方向に変わっていますが、今回は私の経験した「死の行進(デスマーチ)」を紹介します。
「死の行進(デスマーチ)」は元は戦時中の捕虜等の移動の際に使われた言葉ですが映像業界では納期までの時間がなく、帰れず、徹夜で仕事をし続けることを指して「死の行進(デスマーチ)」と言ったりします。
映像業界のリアルを少しでも知っていただけたらなと思います。
特番の編集 ディレクターが複数いるのは危険
私がポストプロダクションに勤めていた時にやった特番の編集は
5日間ほぼ寝ることが出来ずでした。
当然帰宅もすることなく、椅子の上で仮眠したぐらいだったのです。
ポストプロダクションは編集室にエディターとアシスタントがおり、お客さんが持ってきた編集素材、仮編集の状態から完パケと呼ばれる完成品までを編集するところです。
常にお客さんの目がある中で編集するので、勝手に仮眠を取ったり出来ないのですが、ディレクターも人間なのでずっと起きているわけではありません。
普段の番組編集でも徹夜作業になる場合でもディレクターの裁量で仮眠や休憩を取ったりします。
しかしその特番では
総合演出のディレクターが1名
コーナー担当のディレクターが2名
計3名のディレクターと一緒に仕事をしていたわけです。
コーナー担当のディレクターとオフラインが終わった所から編集をしていき、ひと段落ついて休めるかと思ったら、別のコーナー担当のディレクターのカットの編集が始まるといった感じで、ディレクターが代わる代わるやってきて、我々エディターは中々休めない状況に…。
さすがに限界を迎えた所でこちらから「仮眠させてください」と申し出て仮眠の時間をいただきました。
ボスを倒したら全回復して別形態になったボスと再び戦う
そんなゲームがよくありますが、リアルで同じような経験をするとは思いませんでした。
長い長い5日間でしたが、翌週はさすがに休みを多くくれました。
本来ならここまでぶっ続けになる予定ではなかったようなのですが、編集室とエディターをもう1セット用意する予定が何故か編集室1つだったようです。
クライアントは制作費抑えられるのでいいでしょうが、エディターは死にかけました。(大袈裟に言っているわけではない)丁度、人が辞めたばかりで人数が少なかったので別の人と交代が出来なかったことも原因でしたね。
ポストプロダクションの月の就業時間は?
そんな夜通しの作業なんかがよくあるポストプロダクション。
私が勤めていた時で人が辞めた影響で深刻な人手不足と大きな仕事が重なった際の私の月の就業時間は300時間を超えた時がありました。
おかしいですよね。通常の倍ぐらいの時間、働いてるんですって。
あまりにも長時間労働だったのでたまに産業医との面談やメンタル診断なんかもやらされていました。
実は
月に100時間を超える残業や休日出勤を目安に
産業医との面談が国から定められているいます。
私も毎月とは言いませんが3月に一度は面談をしていた覚えがあります…。
長期戦 終わらない仕事
ポストプロダクションは通常1日や2日を編集として抑えるのですが、CGプロダクションやゲーム関係の仕事だと長期戦になることがあります。
私がCGプロダクションに転職してから納期まで残り3か月になった時点で帰れない日々が決定した仕事がありました。
毎日のように終電まで仕事をし、最後の1か月は着替えを取りに帰るぐらいで、休みなく働いていました。
今の時代にはこういったことはなくなってきているかと思いますが、昔はよくあったのです。
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終わらない 帰れない 原因は?
映像業界でこういったブラックな働き方がある場合は
クオリティと人員不足と納期に問題があることが多いです。
要求されているクオリティで納品するには人員と制作期間が必要なのに対し、人員不足な上に納期も短い。
結果、残業をするのが当たり前になるというわけです。
工数計算は打ち合わせの段階で余裕をもってやってもらいたいのですが、少しずつ遅れていくことが多いです。
最終的には私の担当する最終仕上げを行う部門にしわ寄せがきます。
本当に勘弁してほしい…。
こういった「終わらない 帰れない」状況になるのは製作途中でクライアントから修正依頼、仕様変更があることも原因になったりします。
納期内で収まる範囲で現実的な修正ならいいのですがね。
現在はクライアントも含めて徐々に良くなってきているかなという印象です。
さすがに働き方改革の流れがきていますからね。
最後に
私の体験を聞くと映像業界はかなりブラックなイメージが強くなりますかね?
数年前に社会保険労務士の友人に話をした際には
「今すぐ辞めて別の仕事を探した方が良い」
などと心配してくれましたが、今は昔と違って働き方改革も推進されているので安心してください。かなり改善されていますよ。
映像関係の仕事が時間がかかって帰れなくなるのはスケジュールや人員不足だけではなく、作業者がいい映像を作りたくて時間いっぱい努力をしている事もあります。
頼まれてもいないのにいい映像を作りたくて、自ら残って仕事をしてしまうのです。
こだわりを持って映像作りをする。そういう人達がいないと成り立たない仕事なのかもしれませんね。
今は安くて早く何でも出来てしまうようになっています。映像にはお金も時間もかかるという事が多くの方に理解され、作業者が増えていかない限りはブラック企業が多い業界であることは変わらないでしょう。
もし劣悪な環境での仕事が続いたら迷わずに辞めてくださいね。
自分の身は自分で守りましょう。